マルチキャスティングで利用するオペレーター
RxJSでは、複数の購読者に対して同じObservableの出力を共有する「マルチキャスティング」を実現するために、いくつかの専用オペレーターが用意されています。
このページでは、演算子としての観点からマルチキャスティングに関連する代表的なオペレーターを簡単に紹介し、
その使い分けや注意点について整理します。
❗ マルチキャストの概念や Subject を用いた構造的な説明、具体的なコード例については
マルチキャスティングの仕組み をご参照ください。
主なマルチキャスティング関連オペレーター
| オペレーター | 特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| share() | 最も簡単なマルチキャスト手段。内部でpublish().refCount()と同等 | 多くのユースケースで十分 |
| shareReplay() | マルチキャストに加え、直近の値を再購読時に提供 | 状態の再利用が必要な場合 |
publish() + refCount() | 実行タイミングを制御可能なマルチキャスト構成 | 古典的かつ柔軟な構成 |
multicast() | Subjectを明示的に渡す低レベルAPI | カスタムSubjectを使いたい場合に有効 |
マルチキャスティングパターンの比較
| オペレーター | 特徴 | ユースケース |
|---|---|---|
| share() | 基本的なマルチキャスト | 複数コンポーネントでの同時利用 |
| shareReplay(n) | 過去n個の値をバッファ | 遅延購読/状態共有 |
publish() + refCount() | より細かい制御が可能 | 高度な制御が必要な場合 |
multicast(() => new Subject()) | 完全なカスタマイズ | 特殊なSubjectタイプが必要な場合 |
マルチキャスティング使用時の注意点
- タイミングの把握：購読開始時期によって受け取る値が異なることを理解する
- ライフサイクル管理：特に
refCountを使う場合、購読者がゼロになるとストリームが完了する - エラー処理：マルチキャストされたObservableでエラーが発生すると、全購読者に影響する
- メモリ管理：
shareReplayなどを使う場合、メモリリークに注意する