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レッスン phase1-introduction-what-is-websocket
初級 1時間

WebSocketとは何か

📋 前提知識

JavaScript基礎HTTP基本理解ブラウザ開発者ツール使用経験

🎯 このレッスンで学ぶこと

  • WebSocketの基本定義と従来のHTTP通信との違い
  • ブラウザ標準WebSocket APIから学ぶ理由
  • リアルタイム通信が必要になる背景
  • WebSocketの歴史と標準化の意義

WebSocketの基本定義

WebSocketとは

WebSocketは、クライアント(ブラウザ)とサーバー間で持続的な双方向通信を可能にするWeb技術です。
従来のHTTPのように、リクエストとレスポンスを逐一やり取りする必要がなく、効率的なデータ伝送を実現します。

従来のHTTP通信との根本的違い

従来のHTTP通信では、以下のような制限がありました。

  • リクエスト・レスポンス型:クライアントからの要求に対してサーバーが応答する一方向通信
  • ステートレス:各リクエストは独立しており、接続は毎回確立・切断される
  • オーバーヘッド:HTTPヘッダーによる通信データの増大

WebSocketの特徴

WebSocketは、これらの制限を解決します。

  • 双方向通信:クライアント・サーバー双方からメッセージを送信可能
  • 持続的接続:一度確立した接続を維持し続ける
  • 低オーバーヘッド:最小限のフレーム構造で効率的な通信
  • リアルタイム性:遅延の少ない即座のデータ交換

WebSocket通信の仕組み

WebSocket通信フロー

WebSocketの通信は、以下の3つの段階で構成されます。

図表を生成中...

1. 接続確立フェーズ

HTTP Upgrade Request
クライアント(ブラウザ)がサーバーに対して、通常のHTTP接続をWebSocket接続にアップグレードするよう要求します。
この段階では、まだHTTPプロトコルを使用しています。

HTTP 101 Switching Protocols
サーバーが要求を承認し、プロトコルをWebSocketに切り替えることを通知します。
ステータスコード101「Switching Protocols」により、以降の通信がWebSocketプロトコルになります。

2. 持続的双方向通信フェーズ

接続が確立されると、クライアントとサーバーはどちらからでもメッセージを送信できるようになります。

  • 従来のHTTP:クライアント→サーバーの一方向のみ
  • WebSocket:クライアント↔サーバーの双方向通信

この段階では、HTTPヘッダーのような重いオーバーヘッドはなく、メッセージのやり取りが効率的に行われます。

3. 接続終了フェーズ

通信が完了したら、Close Frameを送信して接続を正常に終了します。
どちらか一方が切断を開始し、相手がそれに応答することで、クリーンな接続終了が実現されます。

WebSocket通信の重要な特徴

  • 永続接続:一度確立すれば、明示的に切断するまで接続を維持
  • 低遅延:接続確立のオーバーヘッドが初回のみ
  • フレーム効率:最小限のヘッダーでメッセージを送信
  • プロトコル独立:テキストまたはバイナリデータを自由に送信可能

なぜブラウザ標準WebSocket APIから学ぶのか

学習戦略の理由

このカリキュラムでは、Socket.IOのようなライブラリより先にブラウザ標準WebSocket APIを学習します。

1. 基礎理解の重要性

  • WebSocketプロトコルの本質的な仕組みを理解
  • ライブラリの抽象化に隠された動作を把握
  • トラブルシューティング能力の向上

2. 移植性とパフォーマンス

  • どのモダンブラウザでも動作する標準技術
  • ライブラリ依存なしの軽量実装
  • 最適化された通信効率

3. 学習の段階的進行

  • Phase 1: 標準WebSocket APIの完全理解
  • Phase 2: より高度なパターンと実装技術
  • Phase 4: Socket.IO等の高水準ライブラリ(オプション)

実践デモ

デモで確認できること

接続プロセスの観察

  1. 接続確立:「接続」ボタンでWebSocket接続を開始
  2. 双方向通信:メッセージの送受信を実時間で確認
  3. 接続状態管理:接続・切断・エラー状態の変化
  4. ブラウザ開発者ツール:Network タブでWebSocket通信を観察

実行手順

  1. 上記のデモで「接続」をクリック
  2. ブラウザ開発者ツールのNetworkタブを開く
  3. WebSocketフィルターを選択
  4. 接続とメッセージの詳細を確認

体験してみよう!

WebSocket基本接続デモ

実際にWebSocket接続を確立し、メッセージのやり取りを体験してみましょう。

🌐 WebSocketサービス選択
接続状態: 切断

📝 通信ログ

0件 | 送信: 0 | 受信: 0
🔗

WebSocketに接続すると通信ログが表示されます

🎓 フェーズ1学習ポイント
  • • 🌐 パブリックWebSocketサービスの利用
  • • 🔄 自動フォールバック機能
  • • 📊 接続メトリクスの監視
  • • 📡 WebSocket ReadyStateの理解
  • • 📢 エコーサーバーでの即座レスポンス
  • • ⏱️ レイテンシ測定とパフォーマンス解析

WebSocketの歴史と発展

技術的背景

WebSocket登場の背景

2008年以前:リアルタイム通信の課題

  • ポーリング:定期的なHTTPリクエストによるサーバー負荷
  • ロングポーリング:接続の維持による複雑性
  • Comet技術:ブラウザの制限による不安定性

2008年:WebSocketプロトコルの提案

  • Ian Hickson氏によるHTML5の一部として提案
  • リアルタイムWeb通信の標準化への第一歩

2011年:RFC 6455として標準化

  • IETFによる正式な標準として確立
  • モダンブラウザでの実装開始

WebSocketが解決する現実的課題

実用的な適用場面

従来技術では困難だったユースケース

1. リアルタイムチャット

従来の課題

  • HTTPポーリングによる遅延とサーバー負荷
  • 新着メッセージの即時通知が困難
  • 複数ユーザー間の同期に時間差が発生

WebSocketによる解決

  • サーバーからクライアントへの即座のプッシュ通知
  • 双方向通信によるリアルタイムメッセージ交換
  • 複数ユーザー間の同時通信を効率的に実現

2. 協調編集システム

従来の課題

  • 文書の変更内容を他ユーザーに即時共有できない
  • 競合状態(同時編集)の検出と解決が困難
  • 定期的な保存・更新による作業効率の低下

WebSocketによる解決

  • 文字入力と同時に他ユーザーへリアルタイム反映
  • 操作の順序保証と競合回避を効率的に実装
  • 継続的な双方向データ同期による快適な協調作業

3. ライブデータ表示

従来の課題

  • 株価・為替レートの頻繁な更新にHTTPリクエストが追従できない
  • ポーリング間隔の調整が困難(頻繁すぎるとサーバー負荷、遅すぎるとデータ遅延)
  • IoTデバイスからの大量データ受信に非効率

WebSocketによる解決

  • データ変更時の即座のプッシュ配信
  • 持続接続による効率的なデータストリーミング
  • センサーデータの連続受信と低遅延表示

4. オンラインゲーム

従来の課題

  • プレイヤーの操作同期に致命的な遅延
  • HTTPリクエスト・レスポンスサイクルによるゲーム体験の断続
  • リアルタイム性が求められるマルチプレイヤー要素の実装困難

WebSocketによる解決

  • プレイヤー操作の即時同期と低遅延通信
  • 継続的な双方向通信による滑らかなゲーム体験
  • 複数プレイヤー間の同時アクション処理を効率化

🎉 レッスン完了

このレッスンの内容を理解できましたら、完了マークをつけて次のレッスンに進みましょう。

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💡 学習のコツ
  • • 理解できない部分があれば、前のレッスンに戻って復習しましょう
  • • 実際に手を動かして、コードを書いて確認することが重要です
  • • インタラクティブデモは何度でも試してみてください
  • • 疑問点があれば、参考資料やドキュメントを確認しましょう

WebSocket 実践ガイド について

ブラウザ標準WebSocket APIを中心とした リアルタイムWebアプリケーション実践ガイドです。 TypeScript/JavaScript中級者を対象とした 50-60時間の構造化カリキュラムを提供します。

技術スタック

フロントエンド: SvelteKit + TypeScript
スタイリング: TailwindCSS
ドキュメント: MDsveX
ターゲット: PWA対応のリアルタイムアプリ

© WebSocket 実践ガイド. 学習目的で作成されました。

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