Skill 実例ショーケース
実際に稼働しているSkillの具体例を紹介する。概念ではなく実装を知りたい方向け。
このドキュメントについて
Skillsとはで概念を、Skill作成ガイドで設計手法を学んだ上で、このページでは実稼働しているSkillの実装パターンを3つ紹介する。それぞれのSkillは、設計アプローチ・MCP連携の深さ・配布形態が異なり、Skill設計の幅を理解するための実例集となっている。
実例一覧
| Skill名 | パターン | MCP連携 | 配布形態 |
|---|---|---|---|
| deepl-glossary-translation | MCP連携オーケストレーション型 | pdf-spec-mcp + DeepL MCP | .claude/skills/ |
| code-review-skill | チェックリスト型 | なし(静的知識のみ) | .claude/skills/ / Project Knowledge |
| spec-compliance-skills | データ駆動バリデーション型 | なし(事前パース済みデータ) | Cowork Plugin |
deepl-glossary-translation
リポジトリ: shuji-bonji/deepl-glossary-translation
概要
pdf-spec-mcp と DeepL MCP Server を連携させ、PDF仕様書(ISO 32000-2)を用語統一された日本語に翻訳するSkill。MCPが「できること」を提供し、Skillが「どうやるか」を定義する、三層アーキテクチャの本質的な例。
アーキテクチャ
設計のポイント
このSkillが示す設計パターンの特徴は以下の通りである。
複数MCPのオーケストレーション: pdf-spec-mcp(データ取得)→ DeepL MCP(翻訳)→ xcomet-mcp(品質評価)の3つのMCPを連携させる。Skill自体はツールを持たず、既存MCPの「使い方」を定義する。
5ステップのワークフロー定義: 用語抽出 → 分類 → グロッサリー登録 → 翻訳 → 品質検証という明確な手順をMarkdownで記述。エージェントはこの手順に従って自律的に実行する。
外部スクリプトの活用: グロッサリー登録にはDeepL APIの直接呼び出しが必要なため、scripts/ にシェルスクリプトを同梱。Skillの制約(静的知識)を実行可能なスクリプトで補完するパターン。
分類
複合構成パターンにおける パターン4: MCPs + Skills(完全統合) に該当する。
code-review-skill
リポジトリ: shuji-bonji/code-review-skill
概要
TypeScript / MCP Serverプロジェクトを中心としたコードレビューを行うためのSkill。10カテゴリの評価基準と3段階の優先度フレームワークを定義し、一貫したレビュー品質を提供する。
10カテゴリのチェックリスト
| カテゴリ | チェック内容の例 |
|---|---|
| バグ・問題検出 | プレースホルダー検出、null チェック、async ハンドリング |
| ユーザーメッセージ | 言語一貫性、エラーのアクション可能性 |
| コード抑制 | eslint-disable / @ts-ignore の必要性検証 |
| ハードコーディング | マジックナンバー、埋め込み設定値の検出 |
| パフォーマンス | N+1 問題、キャッシュ不足、逐次 async 呼び出し |
| 冗長性 | コード重複、未使用変数、デッドコード |
| 型安全性 | any 型の排除、Zod による外部データ検証 |
| 保守性 | 責任分離、依存方向、一貫したエラーハンドリング |
| コード構造 | ファイルサイズ 300行超、関数 50行超、循環依存 |
| プロジェクト固有 | MCP: ツール説明・Zod .strict() / Angular: コンポーネント分離 |
優先度フレームワーク
| レベル | 対象 |
|---|---|
| 🔴 High | ランタイムバグ、セキュリティ、パフォーマンス劣化 |
| 🟡 Medium | 将来バグになりやすい構造、型安全性の低下 |
| 🟢 Low | 可読性改善、軽微なリファクタリング |
設計のポイント
MCP不要の純粋Skill: 外部APIを呼び出す必要がなく、エージェントの持つコード解析能力と組み合わせるだけで機能する。Skillの最もシンプルな形態。
分割配置設計: Claude.ai(Project Knowledge)と Claude Code(.claude/)で異なる詳細度の配置を推奨。コンテキストウィンドウの制約に応じた設計指針を PLACEMENT-GUIDE.md で提供している。
分類
三層アーキテクチャにおける Skills単体 のパターン。MCPなしでもSkillとして十分に機能することを示す例。
spec-compliance-skills
リポジトリ: shuji-bonji/spec-compliance-skills
概要
W3C/IETF仕様に対するドキュメントの準拠性を検証するCowork Plugin。事前パース済みの規範要件(MUST/SHOULD/MAY)データを内蔵し、構造化されたバリデーションレポートを生成する。
含まれるSkill
epub-quality の検証フロー
設計のポイント
データ駆動バリデーション: 仕様書の規範要件を事前にJSONとしてパースし、Skill内に同梱。MCPサーバーへのリアルタイムアクセスなしに検証を実行できる。
Skill → Plugin への進化: 単体のSkillとしても機能するが、Cowork Plugin形式(.plugin)で配布することで、インストール・更新が容易になる。Skillの配布形態の進化例。
段階的な拡張: epub-quality を最初にリリースし、pdf-quality、rfc-compliance を順次追加。1つのPluginに複数のSkillを束ねる構成パターン。
分類
三層アーキテクチャにおける Skills単体(データ内蔵型) のパターン。MCPが提供するリアルタイムデータの代わりに、事前パース済みデータをSkillに内蔵するアプローチ。
3つの実例から見えるSkill設計の幅
Skillは「Markdownに書かれた知識」という単純な定義から始まるが、実際にはデータファイルの同梱、スクリプトの併用、MCP連携の定義、Plugin化による配布など、多様な設計パターンが存在する。重要なのは、すべてのパターンにおいてSkillの本質(エージェントへの知識提供)は変わらないということである。
関連ドキュメント
- Skillsとは - Skills 概要
- Skill設計ガイド - いつ・どのようにSkillを設計するか
- スキル作成ガイド - ステップバイステップ作成チュートリアル
- スキル導入・利用ガイド - インストールとプロジェクト導入
- 活用パターンガイド - ユースケースと役割分担
- アンチパターン集 - 共通の失敗パターン
- MCP vs Skills - 本質的な違いと選択判断