開発フェーズ × MCP対応
システム・アプリケーション開発の各フェーズで活用できるMCPを整理する。
このドキュメントについて
ソフトウェア開発は「戦略・企画 → 要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → 運用」というフェーズで進む。AI駆動開発では、各フェーズで適切なMCPを活用することで、品質と効率の両方を向上させることができる。
このドキュメントでは、各開発フェーズで利用可能なMCP、まだ構築されていない領域、今後の優先構築候補を整理する。「このフェーズでAIを活用したいが、何を使えばいいか」という問いに対する実践的な回答を提供する。
開発フェーズ全体像
ソフトウェア開発の各フェーズの流れを以下に示す。
フェーズ1: 戦略・企画
概要
ビジネス目標の設定、実現可能性調査、プロダクト戦略の策定。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 市場調査 | Market Research MCP | 市場規模データ取得 | 📋 構想 |
| 競合分析 | Competitor Analysis MCP | 競合製品比較 | 📋 構想 |
| ROI計算 | Financial Modeling MCP | TCO算出 | 📋 構想 |
現状
このフェーズのMCPは未構築。Web検索やClaude自体の分析能力で代替。
フェーズ2: 要件定義
概要
機能要件・非機能要件の収集と整理。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| RFC要件確認 | rfcxml-mcp | MUST/SHOULD/MAY抽出 | ✅ 構築済 |
| Web標準確認 | w3c-mcp | WebIDL、CSS、HTML仕様 | ✅ 構築済 |
| 法令要件確認 | hourei-mcp | 法令条文取得 | ✅ 利用可 |
| API仕様確認 | OpenAPI MCP | 仕様検証 | 📋 構想 |
具体例
要件定義フェーズでのMCP活用例を以下のシーケンス図で示す。
フェーズ3: 設計
概要
アーキテクチャ設計、詳細設計、API設計。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 設計パターン | Design Pattern MCP | パターン提案 | 📋 構想 |
| ADR生成 | ADR Generator MCP | 決定記録生成 | 📋 構想 |
| DB設計 | Schema Designer MCP | ER図生成 | 📋 構想 |
| 図表生成 | mermaid-mcp | Mermaidダイアグラム | ✅ 利用可 |
| API設計検証 | OpenAPI MCP | 仕様検証 | 📋 構想 |
現状
設計パターン系MCPは未構築。Skillとして「設計パターン集」を定義する方が適切かもしれない。
Skill代替例
設計パターン系のMCPが未構築の場合、Skillとして定義する方法もある。以下はその例である。
<!-- .claude/skills/design-patterns/SKILL.md -->
# 設計パターン集
## アーキテクチャパターン
- Clean Architecture
- Hexagonal Architecture
- CQRS + Event Sourcing
## GoFパターン(抜粋)
- Factory Method
- Observer
- Strategy
...フェーズ4: 実装
概要
コーディング、API実装、フロントエンド/バックエンド開発。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| ドキュメント検索 | Context7 | ライブラリドキュメント | ✅ 利用可 |
| Svelte開発 | svelte-mcp | Svelte/SvelteKit支援 | ✅ 利用可 |
| UIコンポーネント | shadcn-svelte-mcp | UIコンポーネント | ✅ 利用可 |
| RxJS開発 | rxjs-mcp-server | ストリーム実行・分析 | ✅ 構築済 |
| 座標系参照 | epsg-mcp | EPSG座標系 | ✅ 構築済 |
| Angular開発 | Angular MCP | Angular支援 | 📋 構想 |
具体例:RxJS実装フロー
RxJSの実装支援におけるMCP活用フローを以下に示す。
フェーズ5: テスト・品質保証
概要
単体テスト、統合テスト、品質評価。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 翻訳品質評価 | xcomet-mcp-server | 品質スコア、エラー検出 | ✅ 構築済 |
| テスト生成 | Test Generator MCP | テストコード生成 | 📋 構想 |
| セキュリティ | OWASP MCP | 脆弱性チェック | 📋 構想 |
| RFC準拠確認 | rfcxml-mcp | validate_statement | ✅ 構築済 |
具体例:翻訳品質テスト
翻訳品質テストのフローを以下に示す。
フェーズ6: 運用・保守
概要
デプロイ、監視、インシデント対応、継続改善。
MCP活用
このフェーズで活用できるMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 機能 | 状況 |
|---|---|---|---|
| IaC生成 | IaC Generator MCP | Terraform生成 | 📋 構想 |
| パイプライン | Pipeline Generator MCP | CI/CD設定 | 📋 構想 |
| 監視設定 | Monitoring Config MCP | 監視設定生成 | 📋 構想 |
現状
運用系MCPは未構築。クラウドプロバイダー固有のMCPが存在する場合はそちらを利用。
横断的活動
ドキュメンテーション
開発フェーズを横断して活用できるドキュメンテーション系MCPは以下の通りである。
| タスク | MCP | 状況 |
|---|---|---|
| 図表生成 | mermaid-mcp | ✅ 利用可 |
| 翻訳 | deepl-mcp | ✅ 利用可 |
| 品質確認 | xcomet-mcp | ✅ 構築済 |
セキュリティ
セキュリティ系MCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 状況 |
|---|---|---|
| OWASP確認 | OWASP MCP | 📋 構想 |
| CVE検索 | CVE/NVD MCP | 📋 構想 |
法令遵守
法令遵守に関連するMCPの状況は以下の通りである。
| タスク | MCP | 状況 |
|---|---|---|
| 法令検索 | hourei-mcp | ✅ 利用可 |
| GDPR確認 | GDPR MCP | 📋 構想 |
フェーズ × MCP マトリックス
各開発フェーズにおけるMCPの構築状況を一覧で整理する。
| フェーズ | 構築済MCP | 構想中MCP |
|---|---|---|
| 戦略・企画 | - | Market Research, Financial Modeling |
| 要件定義 | rfcxml, w3c, hourei | OpenAPI |
| 設計 | mermaid | Design Pattern, ADR Generator |
| 実装 | rxjs, svelte, shadcn, epsg | Angular, Context7連携強化 |
| テスト | xcomet, rfcxml | Test Generator, OWASP |
| 運用 | - | IaC Generator, Pipeline Generator |
優先的に構築すべきMCP
現在の強みを活かす
現在の構築済みMCPの強みを活かした、次に構築すべきMCPの優先順位は以下の通りである。
- OpenAPI MCP - API設計・検証(要件定義〜設計〜テスト横断)
- OWASP MCP - セキュリティ(設計〜テスト横断)
- Angular MCP - 専門領域の実装支援
ギャップを埋める
未構築領域のギャップについては、以下のアプローチで対応する。
- 設計フェーズのパターン系 → Skillで代替可能
- 運用フェーズのIaC系 → 優先度低(既存ツールで代替)
推奨アプローチ
構築済みMCPの活用、Skill補完、次期構築の3層で推奨アプローチを以下に示す。
原則
MCP活用における基本原則を以下にまとめる。
- 構築済みMCPを最大限活用
- 静的知識はSkillで補完
- ギャップは優先度を見て順次構築
フェーズ別ゲートチェックリスト
各フェーズを「次へ進める状態」にあるかを判定するためのチェックリスト。前のフェーズのゲートを通過してから次へ進む ことを推奨する。Concepts セクションの出口チェックリストが「設計思想の理解」を確認するのに対し、こちらは「各フェーズの実装準備」を確認する。
G1: 戦略・企画 → 要件定義へ進む条件
- [ ] 目標の検証可能化 — ビジネス目標を数値(KPI)と検証期限まで落とし込んだか?
- [ ] AI 活用範囲の合意 — どの工程で AI を活用するか、ステークホルダーと合意したか?
- [ ] 責任境界の初期合意 — 最終判断者(人間)と、AI に委ねる範囲をチームで一次決定したか?
- [ ] 参照先候補のリストアップ — プロジェクトで参照する権威ある情報源(RFC・法令・社内規約等)を洗い出したか?
G2: 要件定義 → 設計へ進む条件
- [ ] MUST/SHOULD/MAY 分類 — 規範強度ラダー(Concepts → 規範強度ラダー)に従って要件を分類したか?
- [ ] 権威ある情報源の特定 — 各要件について、rfcxml-mcp / w3c-mcp / hourei-mcp 等で原文を取得・引用したか?
- [ ] 非機能要件の数値化 — 性能・セキュリティ・可用性等の閾値を、後で検証できる形で記述したか?
- [ ] 法令・規格遵守の確認 — 該当する法令・標準規格の最新版を参照し、適用条文を明示したか?
G3: 設計 → 実装へ進む条件
- [ ] 三層分離の遵守 — Agent / Skills / MCP の責務境界が設計に反映されているか?
- [ ] 責任境界の設計反映 — 設計時 / 実行時 / 構造的制約の三者の責任が、設計ドキュメントに明示されているか?
- [ ] 検証戦略の確立 — Spec-to-Test 変換の戦略(どの仕様をどう検証に落とすか)が決定したか?
- [ ] ガードレールと評価指標 — ESLint・型チェック等のガードレールと、xCOMET 等の確率的指標が定義されたか?
- [ ] Memory 層の判断 — Memory 層導入の必要性を評価し、Stage 1〜2 を選択したか?
G4: 実装 → テストへ進む条件
- [ ] MCP/Skill 統合の動作確認 — 設計で予定した MCP/Skill が、実際にエージェントから呼び出せる状態か?
- [ ] コード品質ガードレール通過 — ESLint エラー = 0、型チェック通過、依存脆弱性スキャン通過、を満たしているか?
- [ ] AI 出力の出典記録 — AI が参照した MCP の出典・バージョン・取得時刻が、出力に付与される実装になっているか?
- [ ] テスト容易性の確保 — 主要な振る舞いがユニットテスト・統合テストの単位に分解可能になっているか?
G5: テスト → 運用へ進む条件
- [ ] 品質ゲートの実測 — xCOMET ≥ 0.85、テストカバレッジ ≥ 80% 等の確率的指標が、設計時の閾値を満たしているか?
- [ ] 規格準拠の検証 — rfcxml-mcp / w3c-mcp の
validate_statement等で、規格準拠を客観的に検証したか? - [ ] エスカレーション条件の検証 — 人間にエスカレーションする条件が実装され、テストでトリガできているか?
- [ ] 証拠トレイルの動作確認 — AI の判断根拠を事後検索できる仕組み(ログ・出典記録)が、運用負荷を考慮した上で機能しているか?
G6: 運用 → 改善ループへ進む条件
- [ ] インシデント対応プロセスの整備 — AI 出力起因のインシデント発生時、誰がどの判断をするかが明文化されているか?
- [ ] 継続評価パイプラインの稼働 — リリース後も品質指標を継続測定し、劣化を検知できる仕組みが動いているか?
- [ ] 参照元の鮮度監視 — 法令・規格の更新を検知し、参照先 MCP のキャッシュやドキュメントに反映する運用が確立しているか?
- [ ] 学習サイクルの確立 — 運用で得られた知見を Skills / Doctrine に還元する仕組みがあるか?
ゲートの使い方
- 全項目 ✅ で次フェーズへ進むのが原則だが、未達項目を「リスクとして合意した上で進む」 という運用も可能。ただし未達項目は必ず Issue として残し、後続フェーズで解消する。
- ゲート判定は チーム合議 が望ましい。一人で「✅ できた」と判断すると、責任境界が曖昧になる。