III.1 Skills
本章の位置づけ
第III部は、五層を一つずつ見る。Skills は、モデルの中に入っていない決まりを、必要なときに読める形で置く層である。作り方とホストごとの置き場は、下の How-to に残してある。
1.1 何を置くか
Claude は、一般的な書き方は知っている。こちらのプロジェクトの用語、レビューの合格線、訳の手順は知らない。それを毎回の会話に全部書くと、長くなるほど薄れる。
Skills は、その決まりを Markdown に書いておく層である。形式の中心は SKILL.md である。Agent Skills に沿った置き方をする製品が多い。読むだけで、外の API は叩かない。
たとえば翻訳なら、用語の統一と「xCOMET 0.85 を下回ったら差し戻す」は Skills に書く。辞書サービスを呼ぶのは MCP である。品質の下限そのものを、全仕事の物差しにするなら Doctrine である。
1.2 MCP との違い
| Skills | MCP | |
|---|---|---|
| 置くもの | 知っているべきこと | できること |
| 形 | Markdown など、静的な文書 | サーバ。ツールとデータの提供 |
| 動くか | 動かない。参照する | 動く。外へ問い合わせる |
| 向くもの | 規約、手順、例、合格の目安 | 原文の取得、翻訳 API、品質の採点 |
両方要ることが多い。Skills で「何を守るか」を書き、MCP で「いまの値を取る」を足す。使い分けの各論は MCP vs Skills を見る。
1.3 種類の目安
| 種類 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 手順 | 仕事の順番 | 訳す、レビューする、出す |
| 合格の線 | 数値や条件 | xCOMET 0.85 以上 |
| ガイドライン | 守る原則 | 命名、文の長さ |
| テンプレート | 出力の形 | PR の説明、文書の見出し |
一つの Skill に、いくつかを混ぜてよい。混ぜすぎると、同時に出す指示が増えて守りが弱くなる。分けた方がよいときは、Agent 側で役割を分ける。
SKILL.md に書くとよい節は、目的、入出力、MUST / SHOULD、手順、判断の目安、よい例と悪い例、である。書き方の型は Skill設計ガイド にある。
1.4 置いてはならないもの
| 置いてはならないもの | 代わり |
|---|---|
| 法令や RFC の原文コピーで済ませること | MCP で原文へつなぐ |
| 目的と禁止の全体 | Doctrine |
| 前回の案件の中身 | Memory |
| 外の API の実行 | MCP |
Skills は、参照時だけ読まれる。いつも全部を載せるものではない。それが、Context Rot への答えである。仕組みは姉妹資料 Part 5: オンデマンドコンテキスト を見る。
1.5 この先のページ
操作と実例は、次に残してある。消していない。
| 知りたいこと | ページ |
|---|---|
| 設計の判断 | Skill設計ガイド |
| 実際に書く | スキル作成ガイド |
| 会話から蒸留する | 会話からの Skill 蒸留 |
| 導入する | スキル導入・利用 |
| 使い方の例 | 活用パターン |
| やってはいけないこと | アンチパターン |
| 実物 | ショーケース |
| MCP との切り分け | MCP vs Skills |
1.6 要約
Skills は、変わらない知識と手順を置く。実行しない。チームの決まりはモデルの中には無いので、外に書いて、必要なときに読ませる。原文と操作は MCP、物差しは Doctrine、前回の続きは Memory である。
関連ドキュメント
本章は層の定義と境界である。手順と実例は次を見る。
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次へ: MCPとは