活用パターンガイド
いつ・どこで・どのようにSkillsを使うか — ユースケースパターンとMCP・CLAUDE.mdとの役割分担。
このドキュメントについて
このガイドは、ワークフローの中でSkillsがどこで価値を発揮するかを特定する手助けをする。2つの基本的なSkill型を紹介し、カテゴリ別の具体的なユースケースを解説し、Skills・MCP・CLAUDE.mdそれぞれの役割分担を明確にする。
Skillの作成方法は スキル作成ガイド、プロジェクトへの導入は スキル導入・利用ガイド を参照。
Skillの2つの型
すべてのSkillは2つの基本型のいずれかに分類される。この区別を理解することが、効果的なSkill設計の鍵である。
知識提供型(Knowledge-Providing)
何をするか: エージェントが実行時に参照する静的な基準、チェックリスト、標準を提供する。
特徴:
- 外部ツール不要
- エージェントの組み込み能力で知識を適用
- 単独のリファレンスとして機能
例: code-review-skill, spec-compliance-skills
# 例: code-review Skill(知識提供型)
## Decision Criteria
| Condition | Action |
| ---------------- | ------------------ |
| ESLintエラー > 0 | ❌ request-changes |
| any型使用あり | ❌ request-changes |
| カバレッジ < 80% | ⚠️ request-changes |実行型(Execution-Guiding)
何をするか: 1つ以上のMCPをオーケストレーションするマルチステップワークフローを定義する。Skillが「使い方」を提供し、MCPが「できること」を提供する。
特徴:
- MCP統合が必要
- エージェントが従うステップバイステップの手順を定義
- 複数のツールを順番に連携
例: deepl-glossary-translation
# 例: translation-workflow Skill(実行型)
## Workflow
1. ソースから用語を抽出 → pdf-spec-mcp
2. 用語集を分類・登録 → DeepL MCP
3. 用語集付きで翻訳 → DeepL MCP
4. 品質を評価 → xcomet-mcp
5. スコア < 0.85 なら修正比較
| 観点 | 知識提供型 | 実行型 |
|---|---|---|
| MCP必要 | 不要 | 必要 |
| 複雑さ | 低〜中 | 中〜高 |
| エージェント依存 | 組み込み能力 | 特定のMCPツール |
| 向いているケース | 標準、レビュー、チェック | ワークフロー、オーケストレーション |
| メンテナンス | 基準の変更時に更新 | MCP APIやワークフロー変更時に更新 |
ユースケース別ガイド
ドキュメント生成・翻訳
シナリオ: チームが定期的に技術文書を翻訳し、一貫した用語と品質が求められる。
Skillアプローチ(実行型):
実際の実装: deepl-glossary-translation
Skillの要素:
- 用語分類ルール(略語 vs 翻訳対象用語)
- 品質閾値: スコア ≥ 0.85
- 用語集登録ワークフロー
- 評価後の修正サイクル
コード品質・レビュー
シナリオ: レビュアーに関係なく、重要な問題を見逃さない一貫したコードレビューを実現したい。
Skillアプローチ(知識提供型):
10の評価カテゴリと優先度フレームワークを定義
| 優先度 | 対象領域 |
|---|---|
| 🔴 高 | ランタイムバグ、セキュリティ問題、パフォーマンス劣化 |
| 🟡 中 | バグの温床となる構造、弱い型安全性 |
| 🟢 低 | 可読性の改善、軽微なリファクタリング |
実際の実装: code-review-skill
Skillの要素:
- 10カテゴリのチェックリスト(バグ検出、パフォーマンス、型安全性など)
- 3段階の優先度フレームワーク
- プロジェクト固有ルール(MCP: ツール記述、Angular: コンポーネント分離)
- 異なるエージェントコンテキスト向けの配置設計
仕様準拠チェック
シナリオ: W3C/IETF仕様に準拠しなければならないドキュメント(EPUB, PDF)を制作している。
Skillアプローチ(知識提供型 + 埋め込みデータ):
実際の実装: spec-compliance-skills
Skillの要素:
- 仕様から事前解析した規範的要件(MUST/SHOULD/MAY)をJSON形式で埋め込み
- MCP不要 — データがSkill内に埋め込まれている
- 段階的拡張: 1つの仕様から始めて、徐々に追加
- 簡単なインストールのためCowork Pluginとして配布
プロジェクト固有ナレッジ
シナリオ: 新しいチームメンバーが、プロジェクトの慣例、アーキテクチャ決定、デプロイプロセスについて同じ質問を繰り返す。
Skillアプローチ(知識提供型):
| Skill | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
onboarding | プロジェクト構成、主要コマンド、コーディング規約 | 新メンバー |
architecture-decisions | ADRサマリー、特定パターンの選択理由 | 全メンバー |
deployment-checklist | デプロイ前チェック、ステージング検証ステップ | デプロイ担当 |
domain-glossary | ビジネスドメイン用語と正しい使い方 | 全員 |
Skillの要素:
- 誰でも更新できるMarkdown形式
- 人の頭の中にしかなかった暗黙知をキャプチャ
- エージェントがプロジェクト固有の質問に答える際に参照
CI/CD統合
シナリオ: AIエージェントにCI/CDパイプラインで特定の手順に従ってほしい。
Skillアプローチ(実行型):
## Workflow
1. push前にローカルでテストを実行
2. push後にCIステータスを確認
3. CI失敗時はログを分析し修正を提案
4. ブランチ命名規則に従う: feature/TICKET-xxx
5. PR説明にはテストプランセクションを含めるSkillの要素:
- PR作成時にエージェントが従うステップバイステップの手順
- 人的介入が必要な場合の判断基準
- プロジェクト固有のツーリングとの統合
MCP・CLAUDE.md との役割分担
どのツールを使うかの判断は重要。以下の判断フローチャートを使う。
具体的な使い分け例
| 知識 | 配置先 | 理由 |
|---|---|---|
| "TypeScript strictモードを常に使用" | CLAUDE.md | すべてのタスクに適用 |
| "翻訳品質は 0.85以上必須" | Skill(知識) | タスク固有の閾値 |
| "DeepLで翻訳 → xCOMETで評価 → 修正" | Skill(実行) | マルチステップMCPワークフロー |
| "DeepL APIを呼び出してテキストを翻訳" | MCP | 外部ツールの機能 |
| "プロジェクトはAngular 17、standalone component使用" | CLAUDE.md | プロジェクト全体のコンテキスト |
| "レビュー順序: ロジック → 設計 → スタイル" | Skill(知識) | タスク固有の手順 |
組み合わせパターン
実践では、これら3つは連携して機能する。
新しいユースケースの発見方法
「繰り返し指示」メソッド
Skill候補を見つける最も簡単な方法
- 繰り返しを記録する: AIエージェントに2回以上与えた指示をリスト化
- ドメインでグループ化: 類似の指示をクラスタリング
- Skillとして記述: 各クラスターを構造化されたSKILL.mdに変換
- 検証: エージェントでテストし改善を繰り返す
よくあるサイン
以下の場合にSkillを作成すべき
- AIエージェントに「常に〜を覚えておいて」と言っている
- チームメンバーによってエージェントへの指示が矛盾している
- エージェントが同じ種類の間違いを繰り返す
- 頭の中にはあるが書き下ろしていないチェックリストがある
- ワークフローに特定の順序で使うべき複数のツールが含まれる
暗黙知から形式知へ
暗黙知から共有Skillsへの進化
| ステージ | 形態 | 問題 |
|---|---|---|
| 暗黙知 | 「知っているけど書き下ろしていない」 | 人が離れると失われる |
| 記述済み | チャットメッセージ、Wikiページ、PRコメント | 散在して見つけにくい |
| 構造化 | 定義されたフォーマットのSKILL.md | エージェントが直接参照可能 |
| 共有済み | Git管理、レジストリ公開 | チーム全体、バージョン管理 |
次に読むべきドキュメント
| 目的 | ドキュメント |
|---|---|
| Skillを作成する | スキル作成ガイド |
| プロジェクトに導入 | スキル導入・利用ガイド |
| 実例を見たい | 実例ショーケース |
| 避けるべきパターン | アンチパターン集 |
| 設計判断 | Skill設計ガイド |
| MCP vs Skillsの比較 | MCP vs Skills |