「AIエージェント」は LLM だけを指すのか — 本サイトのスコープ
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- 学術的には AIエージェント ⊋ LLMエージェント。強化学習エージェント (AlphaGo)、シンボリック AI、ロボット制御もエージェントである。
- 本サイトの「AIエージェント」は 基盤モデル (主に LLM) を推論コアとするエージェント を指す。2026 年現在の業界用法 (Anthropic / OpenAI / Google) と同じ。
- 絞る理由: Skills / MCP / Memory / Doctrine という本サイトの主題は、LLM の構造的制約への応答としてのみ意味を持つから。AlphaGo に
SKILL.mdは要らない。
AI 全体の中での LLM の位置
LLM は「AI」という広大な分野の一部に過ぎない。技術的な階層で見ると、LLM は深層学習 (DL) の中の Transformer ベースの一例である。
分類軸を変えれば、さらに多様な領域が見える。
| 分類軸 | 主な区分・例 |
|---|---|
| 能力範囲 | 特化型 AI (ANI — 現在実用化されているほぼ全て、LLM 含む) / 汎用型 AI (AGI — 研究段階) |
| 機能・出力 | 生成系 (LLM・拡散モデル・音声合成) / 識別・予測系 (スパム検知・医療画像診断・需要予測) |
| 学習パラダイム | 教師あり / 教師なし / 強化学習 / 自己教師あり |
| 技術アプローチ | シンボリック / 統計・コネクショニスト (ML・DL) / 進化計算 / ニューロシンボリック (ハイブリッド) |
| 応用領域 | コンピュータビジョン / ロボティクス・Embodied AI / 音声処理 (ASR・TTS) / レコメンデーション / AlphaFold 等のドメイン特化モデル |
そして「エージェント」という概念自体も LLM より古い。Russell & Norvig 以来の合理的エージェントの枠組みには、ルールベースの反射エージェント、BDI アーキテクチャ、強化学習エージェント、ロボット制御が含まれる。
それでも本サイトが基盤モデル駆動に絞る理由
本サイトの主題である Skills / MCP / Memory / Doctrine は、汎用的なエージェント理論ではない。LLM の構造的制約があるからこそ必要になる設計である。
| 本サイトの構成要素 | 応答している LLM の構造的制約 |
|---|---|
| Skills | 知識の境界 — ドメイン固有の手順・規約を重みに持たない |
| MCP | 正確性・最新性 — Hallucination と学習データのカットオフ |
| Memory | ステートレス性 — セッションを跨いで何も覚えない |
| Doctrine | 判断基準の不在 — 目的・制約・優先順位を自前で持たない |
| Agent (オーケストレーション) | コンテキスト有限性 — 一度にすべてを見られない |
開発者向けアナロジー
AlphaGo に SKILL.md は要らない。判断基準は重みの中に焼き込まれ、ツールを自然言語の説明文から発見する必要もないからだ。逆に言えば、本サイトのアーキテクチャは「自然言語で指示を受け、自然言語でツールを発見する」基盤モデルにのみ成立する。
正確には「LLM」より少し広い
06-physical-ai で VLA (Vision-Language-Action) モデルを扱っている時点で、本サイトのスコープは純粋なテキスト LLM の外に出ている。正確なスコープは「基盤モデル (Foundation Model) を推論コアとするエージェント」である。本文では慣用に従い LLM と表記することが多い。
非 LLM の AI 技術は無関係なのか
無関係ではない。現実のエージェントシステムは、LLM を推論コアとしつつ非 LLM コンポーネントと組み合わせるハイブリッド構成が一般的である。本サイトの 5 層モデルでは、これらは推論コアではなく MCP の接続先・ツールの側に現れる。
LLM は解釈性・決定論的保証・低レイテンシ・ドメイン精度の面で他の AI 技術に劣る場面があり、実運用では適材適所の統合が重要になる。ただし、その統合を誰が判断しオーケストレーションするか——そこが基盤モデルの役割であり、本サイトが扱う領域である。
さらに詳しく
| 知りたいこと | ページ |
|---|---|
| なぜブレない参照先が必要か (Concepts の起点) | 01-vision |
| 5 層モデルの全体像 | 03-architecture |
| 物理世界への拡張 (VLA・Embodied AI) | 06-physical-ai |
| エージェント概念の分類 (LLM ベースの用語整理) | エージェントの分類 |
🔗 さらに深く: なぜ LLM には構造的制約があるのか
本ページは AI 全体の中での LLM エージェントの位置づけ (What) を扱った。「なぜ LLM はステートレスで、コンテキストが有限で、Hallucination するのか」を構造から理解したい場合は、姉妹サイトを参照。
- understanding-llm / Part 1: LLM の構造的問題 — 本サイトの各層が応答している 8 つの構造的問題の解説